携帯を活用しよう (③:どうして繋がるのか)
今回はチョット難しい技術的なお話、「携帯電話はなぜつながるか」についてです。 優しく、分かり易く説明しますが、技術的な話に興味のない方は、今週はパスください。 以下は、日経BP社発行の「知っておきたいモバイル音声&データ通信の基礎知識」を参考にしています。
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携帯電話には音声の「電話」モードとIモードなどの「データ通信」モードがあります。 まずは音声などを繋げる「電話」モードについて説明します。 携帯電話を掛けると、相手がどこにいるかを電話局のコンピュータ(ホームメモリー)が探し出し、相手がいる付近の基地局から相手を呼び出します。 基地局の数は2007年現在全国に3万5000箇所、小学校の数ほどあります。 電話会社別での内訳は、ドコモ:46000(うち室内10400)、KDDI:22500(うち室内3500)、ソフトバンク:31000局くらいです。 では相手がどこに居るかの記録ですが、これはやや広く、都道府県よりやゝ小さい地域範囲で記録していきます。 各携帯電話にはテレビのように常に電波が基地局から流れてきており、自分の今居る地域範囲がわかります。 その地域範囲を出た場合地域範囲が変わった場合、その移動情報がその携帯電話から電波発信され、新しい位置情報がホームメモリーへ登録されるようになっています。 そのようになっているので、電話相手の位置は大まかに分かるようになりますが、ではその範囲のどの基地局にいるのかは分かりません。 従って、その範囲にある複数の基地局から一斉に呼び出しを掛けることになります。 基地局からは放送のように常に呼び出し電波が発信されており、相手の携帯電話が、「今放送されたその番号はわたしだよ。ここにいるよ」と基地局へ回答することによってつながります。 つながったら、外に盗み聞きされないようにキー情報などを交換して、最寄りの基地局を通して、音声通話が始められるのです。
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携帯電話は移動します。 これが技術的に非常に難しいところです。 それが出きるようになって固定電話から携帯電話へと流れができたのです。 通話しながら自動車などで移動していると、通話中に基地局が変わります。 複数の基地局で通話中の電波をみており、その通話の一番強い電波を受けた基地局が、その通話を担当するといった仕組みになっています。 世界中の携帯電話、数十億もの携帯電話が今どこにいるかの情報管理、これも移動することによっての難しいところです。 携帯電話局のコンピュータはこの情報整理に大半の時間をつかっているので、電話をかけると瞬時につながるようにできるのです。
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みなさんお持ちの携帯電話には、小さな箱の中に非常に多くの機能、物凄い頭脳が詰め込まれています。 1つ目は、無線基地局と電波で受送信できる機能です。 2GHzの電波を利用しており、強い電波が出ています。 2つ目の機能は、「音声コーデック」といいますが、人間の声をデジタル信号にしたり、デジタル信号で受信した情報を音声にして聞き取れるようにするものです。 そして3つ目の機能は、音をならしたり、キーボード操作をしたり、メールをしたりのデジタル操作回路の操作機能です。 とのことで、ユーザはこれらを全く気にすることなく、便利に利用しています。
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その携帯電話も、第1世代(音声中心)、第2世代(低速データ通信が可能に)、第3世代(動画など高速通信が可能に)と進化してきました。 第1世代は自動車電話・ショルダホーンと呼ばれ、1979年~1995年頃のものでした。 一般のひとにはまだ余り使用していませんでした。 第2世代はMOVA(ムーバ)で1993年に実用化され、現在もまだ使用されています。 そして第3世代、FORMA(フォーマ)ですが、これは2001年実用化されて現在のメインです。 各世代での大きな違いは、基地局と携帯電話との間でのデータ通信のやりとりの仕方にあります。 1つの無線基地局で通信を管轄する地域のことを「セル」といいますが、その1つの「セル」では数百もの人が同時に通話をしています。 大勢の通話を同時に受ける基地局は、どのようにして同時に入ってくる電波から、ひとりひとりの会話を切り出しているのでしょうか。 その切り出し方が世代により効率化されて、沢山の情報がやりとりできるようになってきたのです。 第1世代はアナログ通信方式で、電波の切り出し方は細かいですが周波数単位でした。 第2世代はデジタル方式で800MHzの帯域を使用し、電波の切り出し方は時間を細かく刻んでのものでした。 個々の情報はテープに細かく刻まれているようなやり方です。 そして、第3世代はデジタル方式2GHzの帯域ですが、同時に複数の情報を流せるやり方になりました。 Aさんの情報にはA0の暗号化記号をつけ、Bさんの情報にはB0の暗号化記号をつけて、両者を加算して送り、受信したらA0の暗号化記号を引くことにより、最初の情報を取り出せるという方法が考えだされたのです(CDMA方式)。 これにより、飛躍的に伝達される情報量が増え、動画なども見られるようになったのです。
今週は、ここまでのところにしておきます。 1週間後またよろしく。