俳句を楽しむ(俳句人口800万人・作り方8)
俳句を作る人は、今や800万人とも1000万人とも云われています。 俳句は奥が深く面白いもの。 芭蕉・蕪村・子規だって、奥義を極めたとはいっていないそうでして、やるほどに味が沸いてくるものだとのことです。 今月(H19・08)、日本経済新聞の私の履歴書に、俳人森澄雄さんの話が連載されています。 今回と次回のブログでは、この森さんの俳句談についてご紹介します。昭和45年俳句月刊誌「杉」が発刊されました。 その主宰者が森澄雄さんです。 文化功労者、森澄雄さんは、常々こう言っています。 俳句は頭ではない、心だ。 大きな宇宙からいただくものだ。 俳句が大事なのではなく、人間が大事なのだ。 このことの前に、人間の小賢しい理屈など、まったくいらない。と、また、月刊誌「杉」の発刊のことばで、森さんは高浜虚子の「竜の玉深く蔵すといふことを」の句を上げて、この句のように深く蔵して、目に見えない大きな世界をひそかに描くことが大切と云っています 昭和47年7月から8月にかけて、シルクロードを旅したが、この間芭蕉の句「行春を近江の人とおしみける」を抱えながら旅を続けたとのことです。 天山山脈に、沢山の大寺院に、そして悠々とお茶などを楽しんでいるひとびとに感動を覚えたそうです。
森さん自身もその近江にも、150回は足を運びその良さを慕っているそうです。 そこには、日本の詩歌の伝統を包み、写実を超えて近江の風土と人間を包む、大きな呼吸があるから。 シルクロードに似た悠悠たる思いに惹かれるものがあるからだ、が本人談です。
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<俳句の作り方8 切れ字は俳句の代名詞>
「や」「かな」「けり」などが入ると俳句らしくなるが、これが切れ字です。 切れ字には、この他にも「なり」「たり」「こそ」・・「らむ」「けむ」・・「か」「ぞ」、そしてその他にも切れ字はまだまだ数多くあります。 切れ字の種類一覧を参照してください。
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「古池に・・・」→「古池や蛙飛び込む水の音」 (松尾芭蕉)
「浮く葉は・・」→「一つ根に離れ浮く葉や春の水」(高浜虚子)
「枯野ゆく・・」→「遠山に日の当たりたる枯野かな」(高浜虚子)
「くれてゆく・」→「短日の梢微塵にくれにけり」 (原 石鼎)
如何でしょうか。 切れ字を使うと俳句らしくなります。
明治・大正・昭和の大俳人高浜虚子は新しい人に俳句を教えるとき、季語を入れて切れ字の「や」か「かな」をひとつ使って作りなさいといったそうです。 「あなたは『や』『かな』をやっているそうですね」などと昭和はじめ、この「や」や「かな」が俳句の代名詞になっていました。ではつぎに、この切れ字の効果はどのようなものか、見ておきましょう。
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(効果1:詠嘆)感動・感激が表現できます。
前記の句「古池や」の「や」で古池も良いものだとの感動、「枯野かな」の「かな」で枯野も味があるなとの感動が表現されます。
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(効果2:省略)「旅なれやひろひて捨つる栗拾う」(篠田悌二郎) 季語でないものに「や」切れ字をつけている。 旅でゆったりとする時間も必要、よいものだがとの雰囲気を出している。「老の掌をひらけばありし木の実かな」(後藤夜半) 老人の手の中にはどんぐりの小さな粒の実があった、やっぱりそうか。 といった風に、切れ字に多くの連想を隠し持たせることができる。
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(効果3:格調)切れ字は詠みあげるときのリズムもよい。 俳句らしく、格調高く聞こえます。
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最近は、「や」「かな」は古臭い、新しい俳句方法をといっている人達がいるが、切れ字は俳句を磨いていくもの。 是非、切れ字ごとに良い俳句を2~3句づつ、丸暗記されることをお勧めします。 以上、俳句の作り方8は、学習研究社・藤田湘子著「20週俳句入門」を参考にしました。
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