俳句を楽しむ(インターネット句会・作り方4)
インターネット上での句会が増えている ・ 俳句雑誌「水煙」発行の横浜の俳人、高橋信之さんと正子さん夫妻は2年前「ブログ俳句会」を立ち上げ、現在会員60人(入会金・年会費各1万円)になる ・ それぞれの会員が俳句ブログを立ち上げ、高橋さんのサイトに連動する ・ 会員同志でコメントを書き合うことができる ・ 毎週1度会員互選で、優秀作品が発表される ・ 俳句はインターネットと、とくにブログとの相性がよく、実際の句会のような味わいがあるという ・ 会員には、高齢者・身体障害者もいて、そのグループサイトも準備されている ・ そちらはブログ活用までは行かないが、6年前から続けられている
日本伝統俳句協会も、同様な句会を開始した ・ 会員は600人余りで、月に1000句前後の投句がある ・ 月一回の互選で、高得点の句が発表される ・ 多忙な人の貴重な研鑚の場になっているようで、ネット句会は男性が多く、高橋さんの添削は夜が忙しい ・ 男性初心者が俳句グループに入っていくのには勇気がいるが、ネット句会であれば入りやすいので、大いに活用してほしいと両者言っている (以上、日経7月6日夕刊より)
<俳句の作り方4> 状況把握から発想まで
俳句は、詠っている現場の状況を俳句を読んで分かってもらえることを目指してはいますが、その句の趣意(明示されてない場合が多いので)を読んだひとが理解することにも面白さがあります。 そのような言語でのお遊びで成り立っています。 現場の再生が完全に成されることは不可能といってよく、趣意が違ってくることもよくおこります。 今回は、読み手にどのように読んでもらえるものか、どのように状況把握して作るとよいのかを、見てみます。
全体状況を表すには、状況の叙述を、下五に置くよりも上五におく方が理解されやすい:例→「舟で来る瀬戸の花嫁島は春」と「島は春瀬戸の花嫁船で来る」とを比較すると、「島は春」を上五に置いた方が、春の麗らかな気分での結婚が伝わってきます。 「島は春」を下五に置くと、花嫁が舟で来ないと春は来ないのか、舟で花嫁が来ると島が春の気分になるのか、などなどと、読み手により趣意が違ってきます。 前者「伝統派」と後者「表現派」どちらもありますが、詠み手の気持ちの強さで決まりましょう。詠み手の気持ちが、ユニークであるか、精錬されているかなどが、俳句作りの初めになる発想段階でのポイントです。
一句中に主体はひとつ:例→「笛太鼓渡すや雛まゆみあげ」でみると、人が(主体1)が雛人形に太鼓などを持たせると、雛は(主体2)は顔を上げるようであるとなる。 このように一句中に二主体が入ると、落ち着きのない句になってしまいます。 これを「笛太鼓渡されて雛まゆみあげ」としますと、主体は雛のひとつになって、雛が生き生きとする様子が伺えるようになると思います。 なおここで「笛太鼓手にしてまゆみあげ」となると、同じに主体はひとつですが、これでは以前にもっていた太鼓を取り戻してとのニュアンスになってしまい、すっきりしません。 主体はひとつであっても、このような表現では主体の気持ちが現れませんので、主体の感情、表現方法がひとつのポイントになります。
句末に時間・空間・状況変化などの語を置くと、想起広がりを持たせられる: 次のように、()内を→のとおり変えることにより、句に広がりを持たせることができる。 「(呼びあひてやがて競ひて虫の鳴く)→ 呼びあひてやがて競ひて虫の夜」・「(木の芽雨小枝小枝に玉しずく)→ 枝々に玉のしずくや木の芽雨」
参照:野浪正隆の「俳句の表現法」
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